

いきなり余談から始めて恐縮ですが、、エドストローム淑子さんという方をご存知でしょうか。日本のエスモードで学んだのち渡仏、パリで服飾を学びながらマルタン・マルジェラのクリエイションチームに合流し、ブランド黎明期からマルタンが引退するまで20年間に渡り一緒に仕事をされていた方。アーティザナルラインのチームを皮切りに、パリを離れるタイミングで雑誌「PURPLE」にも携わり、渡英を経て帰国。日本に戻ってからもマルタンとの交流は続いていたという。2009年には個人オフィスを立ち上げ、国内外の様々なブランドのセールスからPR業務、イベントまで幅広く手掛け、現在ではアートプロデュースの分野でも活躍。
と、一通りさらっと書いただけでも溜息が漏れそうな華麗な経歴に憧れる。
その淑子さんが、設計事務所「daikei milles」の中村圭佑さん、アートブックディストリビューター「twelvebooks」の濱中敦史さんによる「SKWAT」という刺激的なプロジェクトに2020年、合流する。SKWATとは、中村さんがスタートさせた都市に存在するVOID(遊休施設や社会的隙間)を時限的に占有(SQUAT)し、新しいエネルギーを注入することで価値転換を図り、新たな「場」として一般へ開放することを目的とした活動だ。daikei millesもtwelvebooksも断片的には知っていたけれど、この「SKWAT」プロジェクトの全貌を体系的には認識できていなかった。淑子さんの存在を通じて今回ようやく全体像を理解した次第。さらに現在では亀有のSKACというアートセンターへと結実していて興味はMAXに。
2019年に原宿の一軒家からスタートしたこの活動は、渋谷パルコ、CIBONE青山の移転時のハックなどを経て青山SKWATでのプロジェクトに繋がる。淑子さんの参加は、当時、エドストロームオフィスが担当していたクリストフ・ルメールのショップがこの青山SKWATの1階に入ることになったことがきっかけだ。2階にtwelvebooks、地下にギャラリー兼フリースペース「PARK」が入り、やがて青山のカルチャースポットとして注目を浴びるようになる。
青山SKWATはこのビルの文化的価値を高めたことで役目を終えて2023年、一旦の節目を迎え、新たな展開として亀有へと移転。2024年11月、JR常磐線の高架下再開発エリアに、SKWAT KAMEARI ART CENTER(SKAC)というアート・カルチャー拠点として生まれ変わった。因みに、ルメールは新たに恵比寿でフラッグシップストアをオープン、青山SKWATが入っていたビルには、現在、ジェントルモンスターやアクネストゥディオズの旗艦店がオープンし、引き続き話題のスポットになっている。
一方、亀有のSKACは、新たにレコードショップのVinyl Delivery Service(VDS)とコーヒーショップ tawks が加わった新しい顔ぶれでスタート。私が訪れた時は、Faye Toogood の展示が開催中だった。高架下の空間を利用したインダストリアルでラフな空間だけど、不思議と居心地が良い。VDSからいい音が流れてきて、コーヒーショップのスタッフもウェルカムフレンドリーな雰囲気。なんだろう海外のカルチャースポットみたいなクールでラフだけど開放的な空気感満載。おまけに山積みのアートブックが読み放題。もう何時間でもいられそう。
今年の夏以降は、スケールが約2倍に拡張される予定で巨大な高架下のクリエイティブ空間がさらに広がるそう。さまざまなコラボレーターを巻き込みながらシームレスな複合文化施設としてSKACはまだまだ進化の途中。
A collective of artists and thinkers aiming to bring people together by challenging the spatial and cultural boundaries in society.
遠くても足を運ぶ価値がある。亀有の新しいアートスポットから目が離せない。





