どの季節にいつ行っても満足できる和食が堪能できる「なる屋」。ご主人の上嶋さんは、フランクなお人柄なのに、本当にきめ細かい心配りでもてなしてくださる方。お料理はもちろん、お店のしつらいも非の打ち所がない完璧さ。今回、エントランスの様子も少し変わっていました。純白の暖簾は、OVERCOATのデザイナー、大丸隆平氏によるものだそう。上嶋さんは、なる屋をオープンする前はニューヨークの精進料理店「kajitsu」の料理長を務めていらしたのですが、その時のご縁のようです。「kajitsu」は坂本龍一さんが通われていたことでも知られ、世界中から食通が通う伝説のお店でしたが、そちらの初代料理長が上嶋さん。こちらのお店出身の方が開かれたお店は八条口の「燕 en」しかり、奈良の「白 tsukumo」しかり、どこも本当に良店で人気が高いです。看板は上嶋さんがかつて修業した瓢亭のご主人に書いて戴いたもの。流麗な達筆。さすがミシュラン3ツ星、京都の老舗中の老舗のご主人は嗜みが違います。店先に置かれた鉢植えもとても可憐。芍薬かと思ったら牡丹でした。お店に入る前から期待が高まります。
寒い日でしたから、始まりの白魚の茶碗蒸しが身体に染み渡ります。器、盛り付け、あしらいに至るまで細かな気配りが感じられる先付、向付、お椀と続き、黄ニラとポン酢で食べる鰤のお造りに感動。パリパリの食感が絶妙の鱗を逆立てたグジの焼物を頂くと、「京都に来たなあ」と思います。お凌ぎ、鍋と続いて、小鰻丼の鰻の美味しいこと。最近、満足のいく鰻に出会えてなかったので、満面の笑みで堪能しました、笑。最後にお菓子とお抹茶を頂いて満腹。なのに、お土産で氷魚の炊き込みご飯の折まで持たせてもらいました。明日のお昼ご飯の心配がなくなった。至福。ビバ京都!