奈良・長谷寺の牡丹回廊へ

5月の爽やかな週末、長谷寺へ行って来ました。長谷寺といっても、鎌倉ではなく奈良のほう。花の御寺とも呼ばれ、この時季は牡丹が見頃。有名な回廊に鉢植えが置かれる「牡丹回廊」は毎年楽しみにしている方も多く、たくさんの人が訪れます。また、この時期に合わせて御本尊の大観音も特別拝観ができるようになり、普段は入れない国宝の本堂の中に入って、直接、観音様の御み足に触れてお参りする特別な体験ができます。本堂の大きな舞台から見下ろす広々とした山あいの敷地は新緑も美しく、壮観な眺めでした。

長谷寺を象徴するこの回廊は、普段はこのような渋い光景で、私はどちらかというと、こちらのほうが好きなのですが、ここに色とりどりの牡丹が並ぶ眺めはそれはそれで風物詩として素敵です。「渋い」といえば、長谷寺から30分も車で走れば「女人高野」として知られる室生寺があり、せっかくなので足を伸ばしてお参りしてきました。石楠花の時季は終わっていましたが、相変わらず渋さ全開、貫禄の古刹です。

創建は宝亀年間(770〜781年)。室生寺様と呼ばれる美しい衣文の仏像をはじめ希少な仏像が数多く安置されています。国宝の「中尊 釈迦如来立像」は、あいにく奈良国立博物館の「国宝展」へお出ましになっているということでご不在だったのですが、その場所には別の仏像がお祀りされているようでしたので案内の方に尋ねてみると、「代わりに十一面観音菩薩立像が安置されています。あちらも国宝です」とのこと。隠れ里のようなこの鄙びた古刹に奈良の底力を感じます。国宝の代わりにサラッと別の国宝が置くことができ、さらに宝物殿にはもう一体の国宝、釈迦如来立像が安置されているそうです。他にも本堂、金堂、五重塔のほか、伽藍や仏像の多くも国宝や重要文化財の指定を受けるなど美術品の宝庫のようなお寺。

私は神域や御神体、仏像やそれをお祀りされているお堂などではあまり写真を撮らないので、残念ながら写真はないのですが、ぜひ交通の不便さを厭わず訪れていただきたい名刹です。

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