「ガラスと器と静物画 山野アンダーソン陽子と18人の作家」をようやく東京オペラシティ アートギャラリーで観てきました。ストックホルムを拠点に活動するガラス作家、山野アンダーソン陽子さんはインゲヤード・ローマン氏に師事した陶磁器とガラスの作家。2018年にスタートしたこのプロジェクトは、彼女が作った器を18人の画家が静物画に描くことから始まります。画家が作ってもらいたい器のイメージを文章で伝え、そこから想起する作品を山野さんが作り、出来上がった作品を画家がそれぞれの作風で描く。そして写真家の三部正博氏とアートディレクターの須山悠里氏がアトリエへ出向いて器と絵画を写真に収めるという、なかなか手間のかかる作業を経て1冊のアートブックにまとめられました。
アートブック「Glass Tableware in Still Life」は2023年、torch pressより刊行され、最初のお披露目はストックホルムのKonst-ig Booksにて行なわれた後、鎌倉のink galleryで刊行記念展が行なわれました。YAECAのオーナーが営む吉村順三建築のink galleryでの展示をぜひ観たいと思っていたのだけど、会期が短いこともあって見逃してしまった。その後、広島現代美術館から東京オペラシティ アートギャラリー、熊本市現代美術館への巡回展の予定で、今回ようやく初台で観てこれました。
制作の過程がわかるように展示されているので、作家同士のやり取りやその解釈などの背景も知ることができて興味深いですが、三部さんの写真が素晴らしかった。そして、アートブックが販売されているのかと思いきや、別に図録があり、さらに文庫本まで刊行されていてビックリ。東京オペラシティでは、同施設内のICCで、坂本龍一トリビュート展も行なわれていますので(会期は残りわずかですが)、興味のある方はハシゴでぜひ。