北海道・倶知安にある、そもざ。そのダイニングの中央にあるテーブルの写真がひときわ目をひいた。直径3メートルはあろうかという大きな丸テーブル。今までに見たことのないテーブルだった。ひと目で虜になった。
「そもざ」は、イギリス出身の写真家でクリエイティブディレクターのショウヤ・グリッグ氏が手がける施設。13歳でオーストラリアに移り住んだ氏は、20代で北海道を訪れ、その後移住したそうだ。ニセコに居を構えたのち、その隣に栃木県から築150年の古民家を移築し、ギャラリー、レストラン、茶室などを誂えたのが「そもざ」だ。そこで食事ができると知り、その夏の旅行を北海道に決めた。早速ランチの予約を取り、それを軸に旅程を組んだ。私は夏に訪れたけれど、冬の雪景色も素敵だろうと思う。
敷地入口には藍ののれん。日本文化、アイヌの文化、インダストリアル…さまざまなカルチャーをミックスさせ、そこに自身の個性も取り混ぜながら自在に作り込まれた空間。まずはランチ、ということでお目当てのテーブルが鎮座するダイニングに通された。驚いたことに、そのテーブルはそもそもテーブルじゃなかった。巨大な古い農機具をリプロダクトしたものだという。
食事の後は、茶室のある2階と地下のギャラリーを見せていただいた。「そもざ」の隣には日本旅館「坐忘林」があり、さらに今年「SHIGUCHI」(ギャラリーに泊まる、というコンセプトのもと誕生した宿。会津から古民家を移築して作られた)が新しくオープンしたそうだ。海外の富裕層向けにどんどん開発が進んで行くニセコ。この先はどうなって行くのだろう。