金継ぎと蒔絵が施された
河井菜摘さんの高麗青磁のうつわ

もう三年ほど前、京都のtoripieというギャラリーで河井菜摘さんの金継ぎ蒔絵が施された古い高麗青磁のうつわを購入しました。金継ぎの直しの部分に美しい蒔絵が施された作品です。持っている器の中でも3本の指に入るほど気に入っているのですが、実際に使うにはなかなか緊張します。ごくたまに来客時などにお料理を盛ってお出しするのですが、小心者の私は洗って片付ける際には毎回ドキドキしながらこわごわ扱っています。

初めて河井さんの作品に出会ったのはジップロックのタッパーを模した「漆ジップロック」でした。ロゴのエンボスもそのままなので、一見ジップロックを漆でコーティングしたように見えるのですが、実はタッパーそのものに塗っているのではなく、ジップロックを原型にして麻布や漆の下地をつけて張り子のように脱型し、漆を塗り重ねているそうです。木型から麻布で仏像などをかたどってつくる脱乾漆技法という技法なのだそう。工業製品と手仕事の思いもかけない融合。初めて見た時は衝撃でした。何より世の中にこんな美しいタッパーがあるのかと。本当はタッパーじゃないんですけどね。気になる方は「漆ジップロック」で検索してみて下さい。画像が出てきますから。

そういえば、これまた大好きなギャラリーtoripieさんは、知らぬ間に移転して「ギャラリー鳥声」と名を変え、再オープンしていました。新しい名前が「鳥声」と知って、toripieが鳥の声のことだったのだと今さら気づく鈍い私です。素敵な町家の新しい店舗に早くお邪魔したい。

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